自動車保険の等級とは何か

等級は1〜20等級に分かれ、事故のない年数が長いほど保険料の割引が大きくなる制度です。買い替え・売却・家族への譲渡でも、条件を満たせば引き継げます。まずは仕組みの基本を押さえておきましょう。
ノンフリート等級別料率制度とは
自動車保険の等級は、正式には「ノンフリート等級別料率制度」と呼ばれる仕組みに基づいています。ノンフリートとは、契約する車が9台以下の個人・法人向け契約を指す言葉です。この制度は損害保険料率算出機構が定める基準をもとに、国内の損害保険会社が共通して運用しています。等級は1〜20等級まであり、数字が大きいほど保険料の割引率が高くなります。多くの保険会社では、初めて自動車保険に加入するときは6等級からスタートします。
【等級を引き継げる主な場面】
| 場面 | 主な手続き | 引き継げる期間の目安 |
|---|---|---|
| 車を買い替える | 車両入替 | 手続き後すぐに新契約へ引き継ぎ |
| 車を手放し、しばらく持たない | 中断証明書の発行 | 最長10年間(車を取得後1年以内に再開) |
| 家族(同居の親族・配偶者)に譲る | 記名被保険者の変更 | 家族の新規契約に引き継ぎ |
※上記は一般的な傾向であり、保険会社ごとに細部の条件は異なります。
契約中の保険会社に事前に確認することをおすすめします。
等級はどう変化するのか
1年間事故を起こさずに契約を継続すると、翌年の等級は1つ上がり、保険料の割引率も大きくなります。反対に、保険を使って事故の保険金を受け取ると、事故の種類に応じて等級が3つ、または1つ下がる仕組みです。等級が下がると、その後一定期間は「事故有係数期間」として、同じ等級でも事故のない契約者より割引率が低く設定されます。長く無事故を続けるほど保険料の負担が軽くなるため、等級は契約者にとって大切な資産といえます。
等級を引き継げる主なケース
等級を引き継げる代表的な場面は、大きく分けて3つあります。ひとつは車を買い替えたときに手続きする「車両入替」、もうひとつは車を手放してから次の車を持つまで期間が空くときに使う「中断証明書」、そして家族の間で等級を譲る「等級引き継ぎ(承継)」です。それぞれ条件や手続き方法が異なるため、次の章から順番に解説します。
車を買い替えたときの等級引き継ぎ

車を買い替える場合は「車両入替」という手続きで、今の等級をそのまま新しい車の契約に引き継げます。
車両入替の手続きの流れ
車両入替とは、契約中の自動車保険の対象を、今の車から新しく購入した車へ変更する手続きです。新しい車の納車日が決まったら、契約している保険会社や代理店に連絡し、車両入替の手続きを申し出ます。手続きには新しい車の車検証など、車両情報がわかる書類が必要になるのが一般的です。手続きが完了すると、これまで積み上げてきた等級と割引率がそのまま新しい契約に引き継がれます。
手続きのタイミングに注意する
車両入替の手続きは、納車後できるだけ早く行うことが大切です。手続きが完了する前に事故を起こしてしまうと、補償の対象にならない可能性があります。多くの保険会社では、車両入替後に発生した事故であっても、一定期間内に手続きをすれば遡って補償されるケースがありますが、対応は保険会社ごとに異なるため、契約している保険会社に事前に確認しておくと安心です。
等級以外に確認しておきたいこと
車両入替の際は、等級だけでなく、車両保険の金額や補償内容も見直しておきましょう。新しい車の車両価格や用途によって、必要な補償の内容は変わることがあります。また、車種や用途(自家用・事業用など)が変わる場合は、保険料自体が変動することもあるため、あわせて確認しておくと、買い替え後の保険料を正確に把握できます。
車を手放すときの中断証明書
しばらく車を持たない期間ができる場合は、「中断証明書」を発行しておくことで、今の等級を最長10年間保持できます。
中断証明書とは
中断証明書とは、車を手放して契約を解約した後、一定の条件のもとで今の等級を保存しておける証明書です。単身赴任や海外転勤、しばらく車を持たない期間ができるときなどに活用されています。中断証明書を取得しておけば、将来また車を購入して自動車保険に加入するときに、以前の等級から契約を再開できます。
発行できる条件
中断証明書を発行してもらうには、いくつかの条件を満たす必要があります。代表的な条件は、解約時点の等級が7等級以上であること、そして車を廃車・譲渡したり、リース車を返還したりして、実際に車を手放していることです。また、多くの保険会社では、契約の満期日や解約日から一定期間内(目安として13か月以内)に発行の手続きをする必要があるとされています。条件や申請期限は保険会社によって異なるため、解約前に確認しておくと確実です。
有効期限と再開時のルール
中断証明書の有効期限は最長10年間です。ただし、中断してから10年以内であることに加えて、新しく車を取得した日の翌日から1年以内に保険を再開する必要がある点に注意しましょう。この期限を過ぎてしまうと、せっかく保存していた等級を使えなくなる場合があります。将来の再開時期が読みにくい場合は、余裕をもって手続きの期限を確認しておきましょう。
家族間で等級を引き継ぐ方法

自動車保険の等級は、一定の条件を満たす家族であれば、契約者本人以外にも引き継ぐことができます。
同居の親族なら引き継げる
自動車保険の等級は、契約者本人と「同居している親族」であれば引き継ぐことができます。親族の範囲は保険会社の約款によって定められており、一般的には6親等以内の血族、3親等以内の姻族が対象です。父母や子、祖父母や孫、兄弟姉妹などが該当します。一方で、進学や単身赴任などで別居している親族への引き継ぎは、原則としてできない点に注意が必要です。住民票を移していなくても、実際の生活拠点が別であれば別居とみなされる場合があります。
配偶者は別居していても引き継げる
配偶者に限っては、同居・別居を問わず等級を引き継ぐことができるとされています。単身赴任中の夫婦が、それぞれ別の場所で車を持つことになった場合でも、配偶者間であれば等級の引き継ぎが可能です。家族の中でも配偶者だけは特別な扱いになっている点を覚えておくとよいでしょう。
家族間引き継ぎの手続き方法
家族間で等級を引き継ぐ場合は、記名被保険者(主に運転する人として登録されている人)を変更する手続きが必要です。契約している保険会社に、等級を引き継ぎたい家族の情報を伝えて手続きを進めます。等級を引き継ぐ側の契約は、等級の低い状態(新規契約と同様の扱い)から始まることになるため、家族全体でどちらの契約に等級を残すかを検討しておくとよいでしょう。
引き継ぎで損をしないための注意点
等級の引き継ぎは便利な制度ですが、条件を誤ると等級を活用できないことがあります。事前に確認しておきたいポイントをまとめました。
契約の空白期間に注意する
車を手放してから次の契約までの期間が長く空いてしまうと、中断証明書を取得していない場合、以前の等級を引き継げなくなることがあります。将来また車を持つ予定があるなら、解約のタイミングで中断証明書の発行条件を満たしているかを必ず確認しておきましょう。
保険会社への連絡は早めに行う
車両入替や等級の引き継ぎは、いずれも契約者からの申し出によって手続きが進みます。買い替えや売却が決まったら、できるだけ早く保険会社に連絡することが、補償の空白やトラブルを防ぐ一番の方法です。連絡が遅れると、思わぬ形で補償を受けられない期間が生じる可能性があります。
複数台所有の割引制度も確認する
2台目以降の車を新たに購入する場合は、多くの保険会社で「セカンドカー割引」と呼ばれる制度が用意されています。これは、複数の車を所有する契約者が新たに契約する車について、通常の6等級ではなく、7等級からの契約を可能にする仕組みです。等級の引き継ぎとあわせて、複数台所有の場合に使える制度がないかも確認しておくと、保険料を抑えられる可能性があります。
自動車保険の等級引き継ぎでよくあるご質問
Q. 車を売却すると等級はどうなりますか?
A. 次の車にすぐに乗り換える場合は「車両入替」の手続きで等級を引き継げます。しばらく車を持たない場合は、解約時に中断証明書を発行しておくことで、最長10年間等級を保存できます。
Q. 等級は他の保険会社に乗り換えても引き継げますか?
A. 多くの場合、他の保険会社に切り替えても等級を引き継ぐことができます。ただし、前契約の満期日や解約日から一定期間内に新しい契約を始める必要があるなど、条件が定められています。乗り換えを検討する際は、事前に両方の保険会社に確認しておくと安心です。
Q. 別居している子どもに等級を引き継ぐことはできますか?
A. 原則として、別居している親族への等級の引き継ぎはできません。引き継げるのは同居している親族と、別居・同居を問わない配偶者に限られます。
Q. 車両入替の手続きを忘れていた場合はどうなりますか?
A. 手続きが完了するまでの間に事故が起きると、補償の対象にならない可能性があります。保険会社によっては、納車後一定期間内であれば手続き前の事故も遡って補償される場合がありますが、対応は保険会社により異なるため、買い替えが決まったらできるだけ早く連絡することが大切です。






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