自賠責保険とは?基本を解説

自賠責保険(自動車損害賠償責任保険)は、自動車損害賠償保障法に基づき、車を所有するすべての人に加入が義務づけられている保険です。まずは基本的な仕組みを押さえておきましょう。
自賠責保険の目的と加入義務
自賠責保険とは、交通事故の被害者を救済することを目的とした「強制保険」です。車検を通っている車であれば、原則として自賠責保険に加入していることになります。自賠責保険に未加入のまま公道を走行すると、自動車損害賠償保障法違反となり罰則の対象になるため注意が必要です。
任意保険との違い
自賠責保険は対人賠償のみを対象とし、支払われる保険金の上限も法律で定められています。一方で、車両保険や対物賠償を含む任意保険は加入が義務ではなく、補償内容や保険料も保険会社や選択するプランごとに異なります。任意保険は満期のタイミングで自動的に案内が来るのが一般的ですが、解約したい場合は契約者自身で手続きが必要です。
保険期間は車検とほぼ同じ
自賠責保険は車検のタイミングでまとめて加入・更新するのが一般的で、保険期間は車検の有効期間とほぼ一致します。契約は1カ月単位で可能ですが、実務上は12カ月・24カ月・37カ月などまとめて加入するケースが大半です。保険の残り期間は、フロントガラスに貼られた検査標章(車検ステッカー)でおおまかに把握できます。
売却時の自賠責保険の扱い
車を売却する場合、自賠責保険は基本的に「解約」ではなく「引き継ぎ」の扱いになります。売却先が買取業者か個人かによって、手続きの主体や査定額への反映のされ方が変わる点を理解しておきましょう。
保険自体は解約されず新しい所有者へ引き継がれる
自賠責保険の対象は「人」ではなく「車」です。そのため、車が国内で走行できる状態のまま所有者が変わる場合、自賠責保険は解約されず、名義変更によって新しい所有者へ引き継がれるのが原則です。売却しても保険期間そのものが消えるわけではありません。
買取業者に売る場合は査定額に上乗せされる仕組み
買取業者に売却する場合、多くの業者は自賠責保険の残り期間を査定額に加算する形で還元しています。一般的には「車検の残りの期間=自賠責保険の残りの期間」となり「車検の残りの期間」を考慮(加算)した査定額を提示いたしますが、基準は業者によって異なるため、査定明細で確認するとよいでしょう。この場合、保険会社への解約手続きや振込は発生せず、名義変更も業者側が代行するのが一般的です。
個人売買の場合は当事者間で取り決めが必要
個人間で車を売買する場合は、買取業者のような統一の査定基準がありません。残り期間分をどう扱うかは、売主・買主の間で話し合って決める必要があります。取り決めをしないまま譲渡すると、加入して間もない保険料が反映されないまま引き渡してしまうこともあるため、事前に確認しておくと安心です。
【売却方法による自賠責保険の扱い】
| 売却方法 | 自賠責保険の扱い |
|---|---|
| 買取業者に売却 | 業者が名義変更を代行し、残り期間分を査定額に上乗せするのが一般的 |
| 個人売買 | 名義変更の手続きが必要。残り期間分の扱いは当事者間の話し合いによる |
| 廃車(抹消登録) | 保険会社に解約を申請し、残り期間分の還付金を受け取れる |
廃車時の還付金額の目安
車を廃車(抹消登録)にする場合は、売却とは異なり、自賠責保険を解約して残り期間分の還付金を受け取ることができます。どのくらい戻るのか、目安となる考え方を見ていきましょう。
一時抹消登録・永久抹消登録どちらでも還付対象
車を廃車する方法には、いずれ再登録する可能性を残す「一時抹消登録」と、完全に廃車にする「永久抹消登録」があります。どちらの場合も、抹消登録が完了し、自賠責保険の残り期間が1カ月以上あれば、解約による還付を受けられます。解約の手続きは普通車・軽自動車に関わらず、自賠責保険に加入している保険会社等で行うこととなります。
解約返戻金は残り月数で決まる
自賠責保険の解約返戻金は、車種・保険の始期・保険期間・解約日から満期日までの残り月数によって金額が変わります。残り期間が長いほど解約返戻金は多くなり、契約更新直後に近いタイミングほど戻る金額も多くなる傾向です。自賠責保険料自体は基準料率の改定により変動するため、正確な還付額は契約している保険会社に確認するのが確実です。
残り期間1カ月未満は還付なし
解約日から保険の満期日までの残り期間が1カ月に満たない場合、解約による解約返戻金は発生しません。また、残り期間の計算では1カ月未満の端数は切り捨てられるため、手続きが遅れるほど解約返戻金が減る可能性があります。廃車を決めたら、できるだけ早めに解約手続きを進めることが大切です。
【還付額のおおまかな傾向】
| 解約時点での残り期間 | 解約返戻金の傾向 |
|---|---|
| 1カ月未満 | 還付なし |
| 数カ月程度 | 少額の還付 |
| 半年〜1年程度 | 中程度の還付 |
| 1年以上(更新直後に近いなど) | 比較的大きな還付 |
還付手続きと必要書類

自賠責保険の還付を受けるには、廃車の手続きとは別に、保険会社への解約申請が必要です。必要書類と手続きの流れをあらかじめ把握しておくと、スムーズに還付を受けられます。
必要書類(自賠責保険証・抹消証明書・印鑑・口座情報)
一般的に必要となるのは、自賠責保険証明書の原本、廃車が確認できる書類、契約者本人の印鑑、還付金の振込先口座情報の4点です。保険会社によって細部が異なる場合があるため、事前に契約先の保険会社へ確認しておくと手続きがスムーズです。
手続きの流れ
まず、自賠責保険証明書に記載された保険会社のサポートデスクや営業店に連絡します。案内に沿って解約申請書などの書類を準備し、必要書類とあわせて郵送または窓口で提出します。解約日は保険会社が書類を受理した日となり、2〜3週間程度で指定口座に返還保険料が振り込まれるのが一般的です。これは各保険会社の解約手続き案内でも共通して案内されている流れです。廃車を業者に依頼する場合は、還付に必要な手続きを代行してもらえるケースも多くあります。
相続した車を廃車にする場合の追加手続き
親などから相続した車を廃車にする場合も、自賠責保険の還付を受けることは可能です。ただし、その前に亡くなった契約者から相続人へ車の名義変更(移転抹消登録)を済ませておく必要があります。その上で、新しい名義人の登録識別情報等通知書のコピー、自賠責保険証明書、自動車損害賠償責任保険承認請求書を保険会社に提出する流れになります。相続に関する手続きは書類の過不足が起きやすいため、不明点があれば行政書士や保険会社の窓口など専門家に相談することをおすすめします。
損をしないための注意点

最後に、自賠責保険の還付や引き継ぎで損をしないために、業者選びや手続きのタイミングで気をつけておきたいポイントを整理します。
廃車買取業者に依頼する場合は解約返戻金の扱いを確認する
廃車買取を業者に依頼すると、業者が一度自分名義に変更したうえで抹消登録を行い、解約返戻金を受け取る流れになることがあります。その場合、解約返戻金が業者の取り分になるのか、元の所有者に戻されるのかは業者によって対応が異なります。依頼前に、解約返戻金の扱いがどうなるかを見積書や契約内容で確認しておきましょう。
自賠責保険が切れている車でも売却・廃車はできる
自賠責保険の期限が切れている車でも、売却や廃車の手続き自体は可能です。ただし、保険が切れた状態で公道を走行すると法律違反となるため、店舗への持ち込みや納車前の移動には注意が必要です。自走できない場合は、業者の積載車での引き取りを依頼するか、市区町村で仮ナンバー(自動車臨時運行許可)を取得する方法があります。
自動車税・重量税・リサイクル預託金も合わせて確認する
車を手放すときに戻ってくる可能性があるお金は、自賠責保険料だけではありません。自動車税は残り期間に応じて還付や査定額への上乗せが行われることがあり、リサイクル預託金も次の所有者への引き継ぎや返金の対象になります。一方で自動車重量税は、廃車(永久抹消登録)の場合に還付制度があるものの、売却時に上乗せされることは基本的にありません。自賠責保険とあわせてこれらの扱いも確認しておくと安心です。
自賠責保険の還付でよくあるご質問
自賠責保険の還付・解約に関して、よくある質問と回答をまとめました。手続き前の参考にしてください。
Q. 車を売却したら自賠責保険料は戻ってきますか?
A. 売却の場合、保険そのものは解約されず新しい所有者に引き継がれます。買取業者に売る場合は、残り期間分が査定額に上乗せされる形で還元されるのが一般的で、別途振り込みがあるわけではありません。
Q. 廃車にすると自賠責保険はいくら戻りますか?
A. 車種や保険の残り期間によって異なります。残り期間が1カ月以上あれば還付の対象になりますが、正確な金額は保険会社への確認が必要です。
Q. 自賠責保険の解約に必要な書類は何ですか?
A. 自賠責保険証明書の原本、抹消登録などを証明する書類、契約者の印鑑、振込先口座情報が一般的に必要です。保険会社によって異なる場合があるため事前確認をおすすめします。
Q. 自賠責保険が切れている車は売却できますか?
A. 売却自体は可能です。ただし保険切れの状態で公道を走行することはできないため、運搬方法には注意しましょう。
Q. 相続した車を廃車にしても自賠責保険の還付は受けられますか?
A. 受けられます。ただし、廃車の前に相続人への名義変更(移転抹消登録)を済ませる必要があります。手続きに不安がある場合は専門家に相談してください。






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